初太刀しょだち)” の例文
殊に左近は出合いをあせって、ほとんど昼夜の嫌いなく、松山の内外をうかがって歩いた。敵打の初太刀しょだちは自分が打ちたい。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かわしたからだに初太刀しょだちは空を撃たせて、二度目の切っさきは碁盤で受け留めた。茶を持って来たお縫は驚いて声を立てた。三左衛門も駈けつけて来た。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
鳰鳥はハッと身をかわし、危く初太刀しょだちを遁がれたが、そのままバタバタと大岩の上を山手の方へ逃げて行った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ウウム! 返辞がないな! では逆礼ぎゃくれいながら待ち伏せられたこのほうから初太刀しょだちがまいるぞッ——
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道具をつけての稽古ならば、体当りで微塵みじんに敵の陣形をくずしてみたり、いちばちかの初太刀しょだちを入れてみる。当れば血を吸い骨をくらうことを好むやいばと刃とでは、そうはいかない。
初太刀しょだちは、烏帽子の金具に当って、流れた。二の太刀は、伸びて肩先へ行った。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
平次は初太刀しょだちを入れます。
初太刀しょだちをつけたのはこの有村、余人よじんに功を奪われてなるものか」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
切り込んだ初太刀しょだち