切髪きりかみ)” の例文
その時、切髪きりかみ白髪しらがになって、犬のごとくつくばったが、柄杓の柄に、せがれた手をしかとかけていた。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
同時に、本花道ほんはなみちからしずかにあゆみ出た切髪きりかみの女は太宰の後室定高さだかで、眼の大きい、顔の輪廓のはっきりして、一種の気品をそなえた男まさりの女、それは市川団十郎である。
島原の夢 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ここにもこわや切髪きりかみ
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
黒き毛、白髪しらがちりばかりをもまじえぬを、切髪きりかみにプツリと下げた、色の白い、つやのある、細面ほそおもておとがいとがって、鼻筋のと通った、どこかに気高い処のある、年紀としが目も同一おなじ……である。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)