切払きりはら)” の例文
旧字:切拂
此の婚礼に就いて在所の者が、先住のためしを引いて不吉ふきつな噂を立てるので、豪気がうき新住しんじう境内けいだいの暗い竹籔たけやぶ切払きりはらつて桑畑にしまつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
江戸の大城たいじょう炎上のとき幼君を守護して紅葉山もみじやま立退たちのき、周囲に枯草の繁りたるを見て非常の最中不用心ぶようじんなりとて、みずから腰の一刀をぬいてその草を切払きりはら
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
思ひまるべくもあらずとて、人々のいさむるを聞かず、叔母と乳母とに小児を托して引かるゝ後髪うしろがみ切払きりはらひ、書生と下女とに送られて新橋しんばしに至り、発車を待つ間にも如何いかになし居るやらんと
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)