分別盛ふんべつざかり)” の例文
それはあまりにいた仕事しごとなので有繋さすが分別盛ふんべつざかり主人しゆじんなかつた。内儀かみさんがた。勘次かんじます/\しほれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
太郎左衛門は四十を後にした分別盛ふんべつざかりの男であったが、彼はその幻をどうすることもできなかった。
切支丹転び (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
血気の少年はさて置き分別盛ふんべつざかりの男が刃物三昧はものざんまい無理心中なぞに至つては思案のほかにして沙汰のかぎりなり。およそ森羅万象一つとして常住なるはなし。時に昼夜あり節に寒暖あるは自然の変化なり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「それぢや分別盛ふんべつざかりだのに……」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
愚僧は右の如くわずか一、二年の間に妻妾さいしょう両人共うしなひ申候に付き、またもや妾を囲ひたきものと心には思ひをり候ものゝ、早や分別盛ふんべつざかりの年輩に相なり候ては、何となく檀家を始め人のうわさも気にかゝり候て
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)