刀鎗とうそう)” の例文
一方、祝家荘しゅくかそうの入口に駐屯ちゅうとんしていた梁山泊軍七千の上も、暮天ぼてんようやくくらく、地には刀鎗とうそうの林を植えならべ、星は殺気に白くがれていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「甲州勢退くと見るや、城兵一時に安心し、凍えた身肌を暖めんものとかぶとを脱ぎよろいを解き弓矢を捨て刀鎗とうそうさやにし……」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
燕王は護衛指揮張玉朱能等をして壮士八百人をして入ってまもらしめぬ。矢石しせきいままじわるに至らざるも、刀鎗とうそう既にたがいに鳴る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
講武所生徒の銃隊長と同じ刀鎗とうそう隊長とが相談の上、各隊の頭取とうどりを集めて演説し、銃隊は先発のことに、刀鎗隊は将軍警備のことに心得よと伝えたところ、銃隊は早速さっそくその命令に服したが
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
豼貅ひきゅう(戦いを好む猛獣)数万の者が、このところ刀鎗とうそうの血をぬぐって、いささか休息のため人間社会の中へ返っている。そして戦いなき夜を眠っていた。いやなかなか眠りもしていまい。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)