出色しゅっしょく)” の例文
ともかく日本で今売られている土産品としては出色しゅっしょくのものといわねばなりません。それが持つくすの香りもよいものであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
わけて近頃、出色しゅっしょくの男に、木下藤吉郎ともうす者……至って小身者の由ですが、何かにつけ、城下の領民たちの口端くちはによう名の出る男などおりまする
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しからばどの点が芭蕉の出色しゅっしょくであったかと申せば、一言でいうと俳諧をその本然の用途、笑いに対する我々の要望に応ずるようにしたことであろうと思う。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかし可なり得るところがあった証拠に、中等教員の検定試験を出色しゅっしょくの成績で通過して、忽ち彼方此方あっちこっちから引っ張り凧になった。猪股先生は辞を低うして
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「では機会のあり次第、ぜひ一度は見ておおきなさい。夏山図かざんず浮嵐図ふらんずに比べると、また一段と出色しゅっしょくの作です。おそらくは大癡たいち老人の諸本の中でも、白眉はくびではないかと思いますよ」
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
幽斎ゆうさい細川藤孝といえば、旧室町むろまち出の幕府人では、出色しゅっしょくのひとりである。その歌才はかくれなく、学問識徳兼備の文化人として、その友、明智光秀と並び称されている。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
織田信長の清洲きよすという小城のうちにも、木下藤吉郎という出色しゅっしょくな人物がひとりいる——ということを恵瓊が親しく知ったのも、旅の修行中、その蜂須賀村に一宿した機縁によるものであったのだ。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
嫡子の曹操もまた出色しゅっしょくの才人と、遠近に聞えている。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)