出生しゅっしょう)” の例文
彼女が姓名も出生しゅっしょう地も知らぬということは、彼女たちが、事情あって、郷里を離れねばならなかったのだろうと考えることが出来ます。
遺伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
積年の病ついに医するあたわず、末子ばっし千秋ちあき出生しゅっしょうと同時に、人事不省におちいりて終にたず、三十六歳を一期いちごとして、そのままながの別れとなりぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
故に出生しゅっしょうせねば済世さいせいが出来ぬと申すもこの事なり。済世というは則ちこの世の人を済度さいどする事に御坐候。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
右者みぎは本月ほんげつ二十三日午前十一時五十分出生しゅっしょう致しそろ」という文句の、「本月二十三日」だけに棒が引懸けて消してある上に、虫の食った不規則な線が筋違すじかいに入っていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その男子なんし出生しゅっしょうして重ね/″\の喜びと云う所から、その上諭の諭の字を取て私の名にしたと母から聞いた事があるくらいで、随分珍らしい漢書があったけれども、母と相談の上
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
奉「そうして其の出生しゅっしょういたした小児は無事に成長致したか、何うじゃ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
奉「茂二作並に妻由、其の方ども先日半右衞門妻柳が懐妊いたしたを承知せしは、当年より二十九ヶ年前、即ち寛政四子年ねどしで、男子の出生しゅっしょうは其の翌年の正月十一日と申したが、それに相違ないか」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
翌朝食事終りてのち、訊問所に引きいだされて、住所、職業、身分、年齢、出生しゅっしょうの地の事ども訊問せられ、ついにこのたび当地に来りし理由をただされて、ただ漫遊なりと答えけるに、かくなんじらを拘引こういんするは
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
豐「其の方出生しゅっしょう何処いずくだ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)