こお)” の例文
こおった雪をかずいている、或るものは細長い雪のひもで、腹の中を結えている、そうして尖鋭の岩を歯のように黒く露わして、ニッとうす気味悪く笑っている。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
雪渓の表面には水蒸気がこおって烟のように漂い、風に連れて渦を巻きながら太い柱のようになって動いて行くことなどもある。其中に巻き込まれると生温るい感じがする。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
これらがそれ自からの重量のためにこおれる河(即ち氷河)または短かい舌状の氷流となり、徐々そろそろと低地に向ってれ下り、または融解蒸発して再び雪となり、山頂に下って
高山の雪 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
一望ぼうとして、北氷洋がこおったように雲は硬く結んでいる、東方甲斐の白峰しらねを先頭とせる赤石山系のみは、水の中に潜んでもいるように藍をした、我が一脈の日本アルプスは
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
風の吹き荒れたままに漣波さざなみ状をして、湖水のおもてに尖波が立ったような状能になり、そのままこおっているのがある、また円い輪が幾つもつらなって、同心円が出来ているのもある。
高山の雪 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
雪がこおって、鱗のように、あるいは貝殻を刻んだように、皺が寄っている、一尺位は深いところで積っているかも知れないが、杖が立たないから、測ることも出来ず、また実はそういう、余裕も
雪中富士登山記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)