凄文句すごもんく)” の例文
大した凄文句すごもんくも切り出し得ずにコソコソと退散して行くこの男の後ろ姿を、蒼茫と暮れてゆく夕の町の建物の遥か下の方に眺めながら
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
縛りつけ、凄文句すごもんくをならべていましたが、どうしても、女が素直な返辞をしないために、腕ずくで従がわせようとしているのでした
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
凄文句すごもんくや身にしませる歌などを書いて、思い出してもらえる材料にそれを残して、遠い郊外とか、まったく世間と離れた海岸とかへ行ってしまいます。
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それがあたりをはばかりつつ凄文句すごもんくを叩きつけ合う。時々声高になって言葉に火花が散るとき、かれ袋探偵の酔払った耳底に、その文句の一節が切れ切れにとびこむ……
「ひとの話ならつけ易いつてことがわかつたよ。だが、たいていの奴なら、わしの凄文句すごもんくで顫えあがるんだが、この貧乏絵かきばかりは、歯が立たねえんだから、あきれるよ」
この握りめし (新字新仮名) / 岸田国士(著)
まず、いきなりいかりをザンブと投げこんで、おう薄刃うすばのだんびらを持ち出す。——凄文句すごもんくよろしくならべて、約束の駄賃だちん以上な客の懐中物をせびるのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつも、捨て台詞ぜりふ凄文句すごもんくは、弱者のてれかくしと極まっている、そこで雲をかすみという文字どおりに、二人は一散に逃げ出しました。——逃げるに逃げいい武蔵野の原を。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なまなか光り物を抜いたり月並つきなみ凄文句すごもんくをならべないだけに、かえって底気味の悪いことは、倍で、さすが気の強い当世のはすらしい紫頭巾の娘も、糸の切れたあやつりのように
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんな、凄文句すごもんくも、言い捨てて行った。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)