えもの)” の例文
で、本文ほんもん通り、黒革縅くろかわおどし大鎧おおよろい樹蔭こかげに沈んだ色ながらよろいそで颯爽さっそうとして、長刀なぎなたを軽くついて、少しこごみかかった広い胸に、えもののしなうような、智と勇とが満ちて見える。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この兩腕の縛らるゝ迄には、汝が息の根とめでは置かじ、えものはこゝにあり、我に恥ある殺人罪を犯させじとおもはゞ疾く來れといひつゝ、拳銃一つ我手にわたし、われを廊の外にき行かんとす。