入費いりめ)” の例文
「ばかにしてる、五フランばかりでどうしろっていうのか。椅子いすとガラスの代にもならねえ。せめて入費いりめぐらいは置いてくがあたりまえだ。」
格式は一等本座いつとうほんざと云ふので法類仲間はふるゐなかまはヾく方だが、交際つきあひや何かに入費いりめの掛る割に寺の収入しうにふと云ふのは錏一文びたいちもん無かつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
独逸皇帝は、あの通り八方に手を延ばすので、入費いりめも従つて多いと見えて、皇室費の事ではいつも不足を言つてゐる。
おこさんと志ざし牛馬にひとしき荒稼あらかせぎしてはげめども元より母は多病たびやうにて始終しじう名醫にも掛しかど終に養生やうじやうかなはずむなしく成しが其入費いりめ多分有る所へ又叔母をやしなひ妻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私共わたくしども夫婦は最早旅費をつかいなくし、ことには病中の入費いりめ薬礼や何やかやで全く財布さいふの底をはたき、ようやく全快しましたれば、越後路へ出立したくも如何いかにも旅費が乏しく
そりゃあお前さんにいくら金があったところで、いろいろ入費いりめもありなさるだろうし、だれだって同じことでさあ。わしだって何もお前さんの財産をつぶそうっていうんじゃねえ。
田舎いなかなもんですからねえ。時々は旦那のような金のある慈悲深い方がおいで下さいませんではね。入費いりめも多うございますし、まああの小娘を食わしておくのだってたいていではございません。