先君せんくん)” の例文
御案内をして城中へお帰りに成ったから、うい奴と仰しゃって先君せんくんがお取立に成った、是がわしの先祖で、其の時は白島太一たいちという名前で有ったが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さて、彼は、徐州のぼくとなると、第一に先君せんくん陶謙とうけんの霊位を祭って、黄河の原でその盛大な葬式を営んだ。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「拙者は竹腰藤九郎たけのこしとうくろうでござる、おしるし頂戴ちょうだいして、先君せんくん道三入道殿にゅうどうどの修羅しゅら妄執もうしゅうを晴らす存念でござる」
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それに柴田どのをはじめ先君せんくんと御苦ろうをともになされました旧臣のかた/″\がいまではいずれも一国一じょうのおんあるじ、おおきは数ヶ国の大々名だい/\みょうにおなりなされ
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
こうなればもう猶予ゆうよはできない。それに十四日は先君せんくんの御命日でもあるから、その日を期して決行しようと、即座に一決して、頭領大石内蔵助からそれぞれ一党に通達つうだつされた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
「そうです……。まさか矢来の外の人中に、殿がおいであろうなどとは、夢にも考えられませんでした。思うにこれも、鑁阿寺ばんなじの置文をのこされた先君せんくんの、おひき合せと存じられます」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)