へき)” の例文
しかるに、ひとりシナの説を信じて、これを万世不易の金則として用うるは、あまりシナ一方にへきする偏見といわざるべからず。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「生殖の途を外にして到底没交渉なのではないか」といわれるのは、生殖の途にばかり興味を持っておられるらしい今の一部の文学者のへきした御考おかんがえではありますまいか。
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
肩書の分限ぶげんに依って職を求むれば、すみやかに玄関を構えて、新夫人にかしずかるべき処を、へきして作家を志し、名は早く聞えはするが、名実あいかなわず、砕いて言えば収入みいりが少いから、かくの始末。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この村は三百年来の切支丹キリシタンがたくさん隠れて住んでいたへき村である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
以上に説きたるところの二論派は、これを局外より見るに、一は感情に偏し、他は神秘にへきし、ともに中正を得たるものというべからず。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)