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偸視
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ぬすみみ
ふりがな文庫
“
偸視
(
ぬすみみ
)” の例文
上眼使いに二人の方を
偸視
(
ぬすみみ
)
ると、二人の大の男はいずれもワナワナと身を顫わせ、額には冷汗さえかいて、今にも消え入らんばかりの風情である。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼は横眼でそれを
睨
(
にら
)
みながら、妻の額を
偸視
(
ぬすみみ
)
た。このコップを彼処へ、額の上へたたきつけてやつたなら。いや、いけない、もともと自分が我儘なのだ。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
太
(
いた
)
くもこの弁論に感じたる彼の妻は、
屡
(
しばし
)
ば直道の顔を
偸視
(
ぬすみみ
)
て、あはれ彼が
理窟
(
りくつ
)
もこれが為に
挫
(
くじ
)
けて、
気遣
(
きづか
)
ひたりし口論も無くて止みぬべきを想ひて
私
(
ひそか
)
に
懽
(
よろこ
)
べり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
とき/″\たんばの方を
偸視
(
ぬすみみ
)
して行程を遅れまいとするように見えるのは、二人が道の左側と右側とに職場を分けて拾って行くのでした。見ていないと権益を犯し易い。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
渠は電光の如く主筆の顏を
偸視
(
ぬすみみ
)
たが、大きな氷の塊にドシリと頭を撃たれた心地。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
西洋蘆
(
キャンヌ
)
の繁みの奥の方をキョトキョトと
偸視
(
ぬすみみ
)
しながら、コン吉がいうと、タヌは一向意に介しないふうで
ノンシャラン道中記:03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ちらちら
偸視
(
ぬすみみ
)
して胸を躍らしている壁の一場面の前の人の動きにも決して注意を怠らなかった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
矢張り默つた儘で、一
閃
(
せん
)
の
偸視
(
ぬすみみ
)
を自分に注いで、煙を鼻からフウと出す。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼は宮の顔を
偸視
(
ぬすみみ
)
つ。宮は物言はん
気色
(
けしき
)
もなくて又母の答へぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
真名古は時々薄眼をあけて加十の顔を
偸視
(
ぬすみみ
)
る。口の角に泡をためて無闇と饒舌りまくっている愚直なようすを見ると、この男が嘘をいっているのではないことがすぐわかる。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
赤髭
(
あかひげ
)
を
拈
(
ひね
)
り拈りて、直行は女の
気色
(
けしき
)
を
偸視
(
ぬすみみ
)
つ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
上眼使いでオドオドと真名古の顔を
偸視
(
ぬすみみ
)
するようになった。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
“偸視”の意味
《名詞》
こっそり盗み見ること。
(出典:Wiktionary)
偸
漢検1級
部首:⼈
11画
視
常用漢字
小6
部首:⾒
11画
“偸”で始まる語句
偸
偸見
偸安
偸盗
偸児
偸聴
偸取
偸盗戒
偸食
偸劫