しゆん)” の例文
椎野しひの海軍中将、黒部くろべ陸軍少将、元群馬県知事名取なとりしゆん六氏、さかき予備主計監、総領事釜屋望かまやのぞむ氏、最後に浦川子爵と来賓一同が席に就く。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
次女はたか、後の名はしゆんで、長じて後柏軒にした。誕生の順序は第一懐之、第二たかの、第三たかであつたと云ふのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「あ、八五郎親分、錢形の親分も御一緒で——大變なことになりました。若主人の忠之助さんと御内儀のおしゆんさんが」
「おしゆんや、一寸ちよいと」と内儀は群集くんじゆの中よりその娘を手招きぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
真実ほんたうはおしゆんと云ふ名なの
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
柏軒は後狩谷氏しゆんめとつた。又一せふ佐藤氏春をやしなつてゐた。しかし疎桐の生れたのは狩谷氏の未だ来りせざる前である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
内儀のおしゆんと眞ツ黒になつて働いて居りますが、世帶の大綱は、隱居の忠左衞門が握つたきり、その日の賣上にまで眼を通して、錢箱の鍵も伜に渡さないといふ、院中の專横振りでした。
此年伊沢氏では榛軒三十三、妻志保三十七、長女かえ二つ、柏軒二十七、妻しゆんも同じく二十七、蘭軒の遺女長二十三、蘭軒の姉正宗院六十六であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)