代掻しろか)” の例文
いよいよ田植となって代掻しろかきえぶりすり、苗もその日の朝取るのがふつうだったが、いそがしい日には、前日の日暮れに取って置くようになった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これは雪の中に黒く馬の形を現わすもので、それは代掻しろかき馬といって、稲の植付け前の整地に使う馬である。白馬しろうま岳という名はそれから来たのだが、白は当字に過ぎず、代馬しろうまは黒い毛色なのである。
残雪の幻像 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
代掻しろかき器械を扱いかねている由次と勝の動作にも同様に腹が立った。
(新字新仮名) / 犬田卯(著)
代掻しろかきの眞夏來れり出でよ出でよとみに見えたり玄土くろつちのほけ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
または田の神さまの腰掛ともとまり木ともいうやなぎの木は、もう苗代の代掻しろかきの日から立ててあって、固い家では三把の苗を、その田神棒たのかみぼうの根もとから採ることにしている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
麓の村々では代掻しろかきもおおかたすんで、早くも植付けが始まり、か細い緑の列が、涼しげに戦ぐ山田もあれば、傾斜の豆類はたくましい茎の上に幾枚かのほん葉を、強い日光に捧げているのだから。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
代掻しろかきの真夏来れり出でよ出でよとみに見えたり玄土くろつちのほけ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
石城いわき長友ながとも長隆寺ちょうりゅうじの鼻取地蔵などは、ある農夫が代掻しろかきの時に、ひどく鼻とりの少年を叱っていると、どこからともなく別の子供がやって来て、その代りをしてくれて
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
代掻しろかきて水も足らふや夜はかはづころろ樂しめり玉ふくむこゑ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
農業の方でいうと、馬耕牛耕の始まる以前から、代掻しろかき用に大きなマグハが用いられだすと、これをあやつるのはみな男である。販女ひさめっていちに出てくる女が元はあった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
代掻しろかきて水も足らふや夜はかはづころろ楽しめり玉ふくむこゑ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
玄土くろつちの小田よ十代田としろだの栗の穗の光しらけてやをら代掻しろか
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
玄土くろつちの小田よ十代田としろだの栗の穂の光しらけてやをら代掻しろか
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)