仕立じたて)” の例文
一人は三尺帯につッかけ草履の仕事師の息子、一人はかわ色金巾がなきんの羽織に紫の兵子帯へこおびといふ坊様仕立じたて、思ふ事はうらはらに、話しは常に喰ひ違ひがちなれど
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くはしく申立しに伊奈殿は夫は屹度きつとしたる證據しようこなり此方にさし出すべしとの事に付即ち差出しけるに奧州あうしう福島ふくしま仕立じたて紙煙草入かみたばこいれにして其中に手紙一通あり其文そのぶん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大久保おほくぼ出発前しゆつぱつぜんよりも一そうあせつてゐたが、おとづれたのは、やはり竹村たけむらであつた。かれはロンドン仕立じたて脊広せびろこんでゐただけで、一ねんまへかれすこしもかはつたところはなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)