仕手して)” の例文
父上の居間で、夢に見る面甲とおなじようなものを見つけたから、話の仕手してに、持って行って見せてやってくださいという。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
客のうちで赭顔あからがお恰腹かっぷくの好い男が仕手してをやる事になって、その隣の貴族院議員がわき、父は主人役で「娘」と「男」を端役はやくだと云う訳か二つ引き受けた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『浪人を止めておれ身売みうりてもいが、評判のくないおれの事だから世話の仕手しても有るまいて。』
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
するとその寝床の上に、何も彼も剥ぎ取られ、奪われて、誰一人見張っている者もなければ、泣いてやる者もなく、世話の仕手してもないままで、この男の死体が横わっていた。
能楽上の一大倶楽部クラブを起し、天下の有志を集めて依怙贔屓えこひいきなく金春こんぱる金剛こんごう観世かんぜ宝生ほうしょう喜多きたなどいふ仕手しての五流は勿論、わきの諸流も笛、つづみ、太鼓などの囃子方に至るまで
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「人殺しの娘じゃ世話の仕手してもあるめえ。可哀相にあの気象じゃ苦労をするだろう」
牟田口利彦(旧姓梅津)、野中到、隈本有尚、中江三次、宇佐元緒、松本健次郎、加野宗三郎、佐藤文次郎、堺仙吉、一田彦次、藤原宏樹、古賀得四郎、柴藤精蔵、小田部正二郎、筆者(以上仕手して方)
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「女房に仕手してなんぞありやしなくてよ。」
手品師 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
『赤穂の浪人だな。仕手しては』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)