仏蘭西語フランスご)” の例文
旧字:佛蘭西語
奥の四畳半で先刻さっきからおきんさんに学課の復習をしてもらっていた真事まことが、突然お金さんにはまるで解らない仏蘭西語フランスごの読本をさらい始めた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何故なぜならば、僕が同伴して来た三人の将校達は、多分たぶん仏蘭西語フランスごと思われる外国語で話をしつづけました。こう不幸ふこうか、仏蘭西語は僕には何のことやら薩張さっぱり意味が判りません。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
幾枝の「エポレット」が映射する光、彫鏤ちょうるたくみを尽したる「カミン」の火に寒さを忘れて使う宮女の扇のひらめきなどにて、この間仏蘭西語フランスごを最も円滑に使うものはわれなるがゆえに
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
下りた拍子に僕の胸へぶつかって来た者があったのでヒョイと顔をあげて見るとですね、土耳古トルコ美人が立っているのです。『ごめん遊ばせ』と仏蘭西語フランスごで云って顔を赧らめたというものです。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかし一度失業すると、小遣こづかい取りの口に有りつくのは容易でなかった。そのうち庸三の長女に仏蘭西語フランスごを教わり出したが、いつも寂しそうに見える庸三のために、葉子の近頃の消息を伝えたりもした。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
仏蘭西語フランスごも然うですってね?」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)