仁體にんてい)” の例文
新字:仁体
客といふのは四十五六の立派な仁體にんてい身扮みなりは地味で目立ちませんが、行屆いたたしなみで、何樣容易ならぬものを感じさせます。
が、四疊半よでふはんでも六疊ろくでふでも、琵琶棚びはだなつきの廣間ひろまでも、そこは仁體にんてい相應さうおうとして、これに調子てうしがついて、別嬪べつぴんこゑかうとすると、三味線さみせん損料そんれうだけでもおやすくない。しろ指環ゆびわぜいがかゝる。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
父親の紋兵衞は六十前後、思慮も分別も申分がない仁體にんていですが、伜の不心得から、御用聞に度々やつて來られるのだけは、我慢のならぬ屈辱くつじよくを感ずる樣子です。
主人の金右衞門は五十七八の老人で、ひどい西國なまりですが、如何にも穩やかな仁體にんていでした。