人體にんてい)” の例文
新字:人体
さながら知行取りか乘物にでも乘りさうな人柄に見えるのを好い人體にんていと心得、その身は猶更、親々までが元を忘れて、自然と先代からの奢りを増長することになる。
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ち其の人體にんていで考へれば醫師と云るは町内の元益坊主ばうずきはまつたりと云は面體めんていのみならずくろ羽二重に桔梗の紋は掛替かけがへのなき一丁渠奴きやつ小西屋のみせへ行き隣の女に惡名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ともに殺さんと思ひしかば恐れながら此度の儀は御尋ねの通りに相違さうゐ御座ござなく候へ共百兩の金は文右衞門がぬすみ取りしにちがひ御座なく候と申しければ越前守いななんぢ然樣さやう申せども文右衞門の人體にんてい盜賊たうぞくなどすべき者に非ず其は全く馬喰町なる紙屑屋長八より遣はしたる金子にて質物しちもつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)