人言ひとごと)” の例文
夭折者のまはりをとりかこむ人言ひとごとが、彼等を覆ひかくすほどの長い歎きが、彼等を呼びかへさうとする聲、自然のなかにまで彼等を求めてやまない古代的な叫びが
しかしこの「人言ひとごと」の内容は何であったか。兄妹の恋や人妻の恋が非難せられるのはわかっているが恋を卑しいとしない時代に単なる恋が世間の非難をうけるというのは解し難い。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
人言ひとごとをしげみ言痛こちたみおのがにいまだわたらぬ朝川あさかはわたる 〔巻二・一一六〕 但馬皇女
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
人言ひとごとよほとほといとへ寂しくてえは堪へずけり春をこもるは
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
人言ひとごとしげみときみうづらひと古家ふるへかたらひてりつ 〔巻十一・二七九九〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
塩船しほぶねの置かれば悲しさ寝つれば人言ひとごとしげしかもむ (同・三五五六)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)