人種ひとだね)” の例文
主人若し打たれては残卒全からず、何十里の敵地、其処そこの川、何処のはざまで待設けられては人種ひとだねも尽きるであろう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
医者の人種ひとだねが尽きてしまうわけですから、どうしても正当のかたき討と認めることは出来ないのでした。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おう/\とこゑをかけつてわづか人種ひとだねきぬのをるばかり、八を八百ねんあめなかこもると九日目こゝのかめ真夜中まよなかから大風たいふう吹出ふきだしてそのかぜいきほひこゝがたうげといふところたちま泥海どろうみ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「西郷、なまじなことをしては、当家に、人種ひとだねが無くなるぞ」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
おうおうと声をかけ合ってわずかにまだ人種ひとだねの世にきぬのを知るばかり、八日を八百年と雨の中にこもると九日目の真夜中から大風が吹出してその風の勢ここがとうげというところでたちまち泥海どろうみ
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)