京童きょうわらべ)” の例文
京童きょうわらべから“道誉羽織どうよばおり”とよばれている彼好みな改良仕立ての陣座羽織が幾通りもある。外出のたび、彼は自分で選ぶ好みでなければ着て出ない。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれはそう思うたら、今でも不思議な気がするくらい、ありとあらゆる罵詈讒謗ばりざんぼうが、口をいてあふれて来た。もっともおれの使ったのは、京童きょうわらべの云う悪口あっこうではない。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
『源氏物語』のできた時代に生きていた藤原明衡ふじわらのあきひらの『新猿楽記』によると、当時の曲目の一部は、「京童きょうわらべ虚左礼こされ」、「東人あずまびとの初京上り」、「福広聖の袈裟求けさもとめ」、「妙高尼みょうこうに襁褓乞むつきごい
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
口性くちさがない京童きょうわらべの埒もない沙汰じゃ。そのような沙汰が伝わっては、藤十郎の身近にいる人様のお内儀に、どのような迷惑をかけようとも計られぬわ。かまえて、打ち消して下さりませ。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
刺客どもは顔色を失い、ふるえあがってしまったが、京童きょうわらべはこれをきいて、大将のフルマイとは思われぬという者と、若大将はこれだけの血気がなくては、という者と、二派の批評があったそうだ。
織田信長 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
それをまねたのが京童きょうわらべ貝独楽かいごま、ひなのぜに独楽、長崎の漢土かんど独楽、それから雨後の竹の子独楽、できるわできるわ、手品てじな独楽、半鐘独楽はんしょうごま、ゴンゴン独楽
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、この興行の評判に連れて、京童きょうわらべの口にこうした揷話そうわが伝えられた。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
口さがない京童きょうわらべさがを持っている代表たちは、口々に語り合って行った。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口性くちさがなき京童きょうわらべ
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)