乾干ひぼ)” の例文
家来でないものが百姓をしたり商売をしたりしなかったら、家来はみんな乾干ひぼしになっている。王政維新どころでない。訓諭がおわった時
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「資本家は、おれたちゴンゾが乾干ひぼしになろうが、のたれ死にしようが、なんとも思わんのよ。痛うも、かゆうもねえとじゃ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「フームじゃねえよ、大変だよ、亀田さんが帰らねえと、イロハ長屋に残っている病気のおかみさんだの、子供だの、五人の者が乾干ひぼしになるんだぜ」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
血の気を絞り取ってしまったら乾干ひぼしになって、孫を産む活力などはくなってしまいはしないかという気がする。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そうは思ってもこの頃のようにこう不景気ではやり切れぬ。筑紫権六つくしのごんろく乾干ひぼしになるわい。それでとうとうそれも諦め今夜を最後にここを立ち退き、明日は旅路に向かうつもりじゃ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は、それならばというので、請求書を五千フランに書き改めると、銀行では、それに相当する英貨えいかで、払ってくれた。彼は、やっと大安堵あんどの息をついた。これで、乾干ひぼしにもならないでむ。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かめと亀とが角力すもうをとって負けたほうが仰向けに引っくり返される。引っくり返されたが最後もう永久に起き上がる事ができないので乾干ひぼしになるそうである。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「そうだ。それとも、警察じゃ、女親は、乾干ひぼしになっても、いいと言うのか」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しまった! 敵は根気よく糧道を断って、われわれを乾干ひぼしにする作戦だ」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれどもがいただく給与は、この正月からみなこの楮幣ちょへいで支払われたのだ。それが通用もせぬ紙きれだったら、この身ばかりか女房子は乾干ひぼしだわ。しかもおれどものは体をってのご奉公だぞ。