乱鬢らんびん)” の例文
言下ごんか勿焉こつえんと消えしやいばの光は、早くも宮が乱鬢らんびんかすめてあらはれぬ。啊呀あなやと貫一のさけぶ時、いしくも彼は跂起はねおきざまに突来るきつさきあやふはづして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
帰途かえりを案じていた作左衛門夫婦は、声におどろいて出てみると、五平は肩先から鮮血を流して、乱鬢らんびんのままへたばっていた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乱鬢らんびんうちに五六本の白髪しらがまたた燈火あかりの光を受けてちらりちらりと見ゆるばかり。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そしてぬれしずくな乱鬢らんびんと、蒼白になった顔や腕の傷を見ますと、二人がいかにはげしい水中の格闘をやったかが想像されて、見るものの眼を慄然とさせる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は脇差を以てメチャメチャに突き破り、乱鬢らんびんとなって這い出しました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)