九字くじ)” の例文
ならひたての九字くじるやうな、ゆびさきてのひらいて、次手ついで道中安全だうちうあんぜん女難即滅ぢよなんそくめつじゆとなへる。……
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
摩利信乃法師は夢のさめたように、慌しくこちらを振り向きますと、急に片手を高く挙げて、怪しい九字くじを切りながら、何か咒文じゅもんのようなものを口の内に繰返して、匀々そうそう歩きはじめました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
我知らず肩をそびやかすと、ステッキをぐいと振って、九字くじを切りかけて、束々つかつかと通った。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
九字くじを切るだのと申しまして、不思議なことをするのでありますが、もっともこの宗門の出家方は、始めから寒垢離かんごり、断食など種々さまざまな方法で法をしゅするのでございまして、向うに目指す品物を置いて
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)