乃父おれ)” の例文
かくすには及ばんぞ、きいたら聞いたと言うがえ。そんなら乃父おれには考案かんがえがあるから。サア慝くさずに言うが可え。何か聞いたろう?』
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
また説が変れば又書替かきかえて又見せるから、能く見ておいて、乃父おれの死んだ後で争うような卑劣な事をするなよと申してわらって居ます。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
なかんでもえ、最早もう乃父おれも問わんから、サア奥へ帰るがえ、』とやさしく言ったその言葉は少ないが、慈愛にみちて居たのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
馬鹿をふな! お前は乃父おれのやうに旋盤細工ろくろざいく商業しやうばいにするか、それともうんくばおてら書役かきやくにでもなるのだ。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『お前は何を考がえて居るのだ。もって生れた気象なら致方しかたもないが、乃父おれはお前のような気象は大嫌だいきらいだ、最少もすこ確固しっかりしろ。』と真面目まじめの顔で言いますから、僕は顔も上げ得ないで黙って居ました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)