中風ちゆうふう)” の例文
だが、小左衞門はもと武家の出で、少し中風ちゆうふうの氣味でも、お春や久治には殺せさうもない。
老婆ばあさんは中風ちゆうふうぬし、おきぬさんはおよめくをいやがつてうら井戸ゐど飛込とびこんで仕舞しまつた、おまへ不人情ふにんじやうれをてゝくし、もうなにもつまらない、なん傘屋かさやあぶらひきなんぞ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
では、今はその禿顱はげ中風ちゆうふうたきりなのだね、一昨年をととしから? それでは何か虫があるだらう。有る、有る、それくらゐの女で神妙にしてゐるものか、無いと見せて有るところがクレオパトラよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ろうしたる、はた、めしひたる円頂閣まるやねか、壁の中風ちゆうふう
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
これは五十五六の中老人ですが、輕い中風ちゆうふうで足腰が不自由な上、娘の不慮の死に打ちひしがれて、まことに正體もありません。平次の問ひに對して、それでも涙の隙から、んなことを語りました。