中風ちゅうふう)” の例文
平常ふだんから、達者たっしゃだったおじいさんは、まだ、そんなに年寄としよりでもなかったのに、とつぜん、中風ちゅうふうにかかってにました。
おばあさんとツェッペリン (新字新仮名) / 小川未明(著)
火事が中風ちゅうふうばあさんに、石臼いしうすを屋外までかかえ出させたほどの目ざましい、超人間的な活動を、水夫たちに与えた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
それから翌年よくとしの春、姑はふと中風ちゅうふうになりましてね、気の強い人でしたが、それはもう子供のように、ひどくさびしがって、ちょいとでもはずしますと、おきよお清とすぐ呼ぶのでございますよ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「わたしは吉左衛門のせがれでございます。父はこの四月から中風ちゅうふうにかかりまして、今だに床の上にたり起きたりしております。お昼は申し付けてございますが、何か他に御用もありましたら、わたしが承りましょう。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
つまにはわかれ、たよりとする子供こどもも、また病気びょうきでなくなり、わたしは、中風ちゅうふう気味きみで、半身はんしんがよくきかなくなりましたので、はたらくにもはたらかれず、たとえ番人ばんにんにさえもやとってくれるひとがありませんので
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)