旧字:中氣
亭主は化け地蔵の松五郎といって、女衒仲間でも幅を利かしていた奴ですが、二、三年前から中気で身動きが出来なくなりました。
そうして中気病みのようにわななく手を左のポケットに突込んで、新しい手の切れるような二十円札を一枚、私の前に差し出した。
先代の御主人は中気で亡くなりましたが、その娘のお信さんは、半年前のある晩、何を食べたか、もがき死をなさいました。
「人が中気すると、右か左か、どっちかをやられると聞いてるが、おれは右の方をやられた。そう言えば、おれは耳まで右の方が遠くなったようだぞ。」