世帯道具しょたいどうぐ)” の例文
旧字:世帶道具
干潮かんちょうの時は見るもあわれで、宛然さながら洪水でみずのあとの如く、何時いつてた世帯道具しょたいどうぐやら、欠擂鉢かけすりばちが黒く沈んで、おどろのような水草は波の随意まにまになびいて居る。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このとき、一だい貨物自動車かもつじどうしゃが、会社かいしゃもんからて、まちぎ、ある田舎道いなかみちにさしかかったのであります。くるまうえには、世帯道具しょたいどうぐがうずたかくまれていました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
世帯道具しょたいどうぐ——といったところで茶碗皿小鉢にはしが二組と、それにささやかな炊事すいじの品々だが、その茶碗と箸も正直なところできることなら同じ一つですませたいぐらい。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
... 外の世帯道具しょたいどうぐも大原さんがお買いなすったものは滅多めったにありますまい」大原「滅多どころですか、一つもありません。僕が下宿屋からここへ引越して来た時何でも入要な品は残らず揃っていて雪隠せついんに紙まで入れてあったには ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)