不首尾ふしゅび)” の例文
それがこの不首尾ふしゅびとなっては、先生にあわせる顔もないしだいだが、天下のことながらにして知る先生、またきっと好いおさしずがあろうと思う
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と照彦様はさっそく刺繍台ししゅうだいの方へはい進んだ。おとといの晩の不首尾ふしゅびがあるから、特にご機嫌きげんをとるつもりだった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ちょっと不首尾ふしゅびになっているので、きょうの贈り物で一気に回復しようという寸法だ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
大抵その儘打棄うっちゃってあるです。それはみんなそういう事をやるのですから、それをあまりやかましく言うとかえってそのやかましく言い出す僧官が不首尾ふしゅびになって来るものですから、その儘打棄ってある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
不首尾ふしゅびながら、翌日よくじつは、大久保長安おおくぼながやすはふもとの町から甲府こうふへかえる行列ぎょうれつ仕立したてた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
晩餐ばんさんを賜わって、彼は何の不首尾ふしゅびもなく退った。すくなくも、不首尾ではなかった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊那丸いなまるを味方につけ、甲駿こうすんへ根を張らんとしてながらくでていた八風斎はっぷうさい、それが不首尾ふしゅびで、帰参後も、めッたに顔をみせぬと思うていたら、すでに、秀吉袋攻めの奇陣をさくしておったのか、どれ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)