不精ぶしやう)” の例文
……とひまに、なんの、清水谷しみづだにまでけばだけれど、えうするに不精ぶしやうなので、うちながらきたいのが懸値かけねのないところである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何だつて十月に限つてそんなに不精ぶしやうなのだと訊くと、菊五郎は親爺譲りの癖で、ぐつと反身そりみになつて、言訳をする。
「‥‥‥‥」かの女は再び仰向けになりながら、枕もとの方へ行つて落ちたところの廣い紙を自分の手で——不精ぶしやうたらしくも——自分の顏のうへを越えて拾ひ上げた。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
私が不精ぶしやうで返事をせぬのを、君は意に介せない。津下君は私に面会してから、間もなく大学を去つて、所々に流寓りうぐうした。其手紙は北海道から来たこともある。朝鮮から来たこともある。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「あるきもしない、不精ぶしやう不精ぶしやうだとふけれど、ながらにしてつてるぜ。かはせみさ、それは。」
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「だからフランネルがはいつてるぢやありませんか、不精ぶしやうだね。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)