不爛ふらん)” の例文
「敢て訊くが、其許は蘇秦そしん張儀ちょうぎ詭弁きべんを学んで、三寸不爛ふらんの舌をふるい、この国へ遊説しにやってきたのか。それが目的であるか」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲「控えろ、仮令たとい三寸不爛ふらん舌頭ぜっとうを以て陳じても最早逃れられぬぞ、是なるは番人喜助の女房梅で有る、見覚えが有るかうじゃ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
水産試験場、著名の漁場漁港を巡廻し、三寸不爛ふらん舌頭ぜっとうを以て朝鮮出漁を絶叫する事、又、十二年間……折しもあれ日韓合併の事成るや、大河の決するが如き勢をもって朝鮮に移住する漁民りょうみんだけが
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「来るものか、あの兄弟たちが。この呉用が出向いて、相談をもちかけても、よほど三寸不爛ふらんのこの舌で口説くどかぬことには」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぱんの風にまかせて、呉国へ下り、三寸不爛ふらんの舌をふるって、孫権と曹操を戦わせ、しかも江夏の味方は、そのいずれにもらず、一方のやぶれるのを見てから
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがしが参って三寸不爛ふらんの舌をふるい、彼らを説かば、たちまち、旗を反して、丞相の下へ降って来ましょう。しかる後、周瑜を生け捕り、次いで玄徳を平げることが急務です。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとたびは毛利家へかんを通じていたものだが、官兵衛が三寸不爛ふらんの舌を以て、それを説き、遂に一兵も用いず織田の陣営へ引き入れたことは、どれほどこの播州において、形勢を有利にし、また
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やれば、やらせておく。もし王倫おうりんと林冲の二人の舌火ぜっかが、あやふやな妥協にでも終りかけたら、この呉用が横ヤリを入れ、三寸不爛ふらんの舌さきで、二人の舌戦ぜっせんあおり立てる。見てござらッしゃい」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「幸いにも、私は、呂布と同郷の生れです。彼は勇猛ですが賢才ではありません。以上の二品に、私の持っている三寸不爛ふらんの舌をもって、呂布を訪れ、将軍のお望みを、きっとかなえてみせましょう」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)