三叉さんさ)” の例文
欲しいと思っていた竹越三叉さんさの二千五百年史などわけてうれしかった。それと、或る時、“あやめ”の二十匁が一しょに出て来たときだった。
復一の船が海水浴場のある対岸の平沙の鼻に近づくと湖は三叉さんさの方向に展開しているのが眺め渡された。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
甚句おどり、かっぽれおどり、なににても好きなるものは、たとえ三人は素人なるも、三叉さんさ足が芸人の調子に合わせておもしろくおどるべし。このときも手を緩く浮かぶるなり。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
私は瓦斯ガスランプに火を点じて検眼鏡を取り出し、患者と差向いで、その両眼を検査いたしましたところが、例の通り私の検査が至って手のろいので、彼女は三叉さんさ神経痛の発作も加わったと見え
痴人の復讐 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
更に地を震るポセードーン三叉さんさの鋒を手にとりて
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
春草路三叉さんさ中に捷径あり我を迎ふ
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
東京の日本橋から外濠そとぼりの方へ二つ目の橋で、そこはもはや日本橋川が外濠に接している三叉さんさの地点に、一石橋がある。橋の南詰の西側にび朽ちた、「迷子のしるべの石」がある。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
と、三男の祝彪しゅくひょうが、これも縷金荷葉るきんかようのうすがねのかぶとに、紅梅縅こうばいおどしのクサリよろいを着し、白馬はくば紅纓こうえいの上にまたがって、三叉さんさの大鎗も派手派手しく、部下百人の先頭に立って城門の外へ出てきた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
をもって中央にて三叉さんさに結成し、その上に飯櫃めしびつふたを載せ、三人おのおの三方より相向かいて座し、おのおの隻手かたてあるいは両手をもって櫃の蓋を緩くおさえ、そのうちの一人はしきりに反復
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
彼の三叉さんさの鎗が、からみあって、音を発し、閃々せんせんといなずまのような光を交じえ、とたんに、両勢入りみだれて陣鼓じんこ喊声かんせい、一時に鳴りとどろき、いずれも早や、退くに退けないものとなったが
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)