万般よろづ)” の例文
又仏前の御灯明みあかし目瞬めはじきしつゝ万般よろづのものの黒み渡れるが中に、いと幽なる光を放つも趣きあり。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
夫の留守にはこの家のあるじとして、彼はつかふべき舅姑きゆうこいただかず、気兼すべき小姑こじうとかかへず、足手絡あしてまとひの幼きもだ有らずして、一箇ひとり仲働なかばたらき両箇ふたり下婢かひとに万般よろづわづらはしきをまか
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何程仕事の大事ぢやとて昨日の今日は疵口の合ひもすまいし痛みも去るまじ、泰然ぢつとして居よ身体を使ふな、仔細は無けれど治癒なほるまでは万般よろづ要慎つゝしみ第一と云はれた御医者様の言葉さへあるに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)