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幾尋
春の水が春の海と出合うあたりには、
参差として
幾尋の干網が、網の目を抜けて村へ吹く軟風に、
腥き
微温を与えつつあるかと怪しまれる。
幾尋ともなき
深淵の上にこのたなをつりて
身を
置、
一条の
縄に
命をつなぎとめてその
業をなす事、
怖しともおもはざるは此事になれたるゆゑなるべし。
わたしは海面よりもずっと下に生えている
珍しい植物を見ることができました。それらは森の中の
巨木のように、
幾尋もある
茎をわたしのほうへさし上げていました。