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バキン
余は
平生學海居士が
儒家らしき
文氣と
馬琴を
承けたる
健筆に
欽羨するものなるが、
罪と
罰に
對する
居士の
評文の
餘りに
居士を
代表する
事の
多きには
聊か
當惑するところなき
能はざりし。
余が
前號の
批評にも
云ひし
如く罪と罰とは
最暗黒の
露國を
寫したるものにてあるからに
馬琴の
想像的侠勇談にある
如く
或復讎或忠孝等の
故を
以て
殺人罪を
犯さしめたるものにあらざること
分明なり。