“トタン”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:とたん
語句割合
亜鉛85.0%
亜鉛板10.0%
亞鉛5.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私はズラリと並んだ馬の顔を一渡り見まわすと直ぐに亜鉛トタン塀を飛び出して、表の入口に来て、今度は切符を見せて無事に場内の特等席に帰った。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
亜鉛トタン屋根を抜けて真赤な焔の幕が舞い下りたと思った刹那せつな、砲身も兵も建物も、がーんばりばりと大空に吹きあげられてしまったから。
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しばらくお銀は運動場へ出て、風に吹かれていた。亜鉛トタンの板敷きに、べったり坐っているお銀は、少しずつ性がついて来た。笹村はじきに外へ連れ出した。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
私は猶予なく三尺ばかりの亜鉛トタン壁をヒラリと飛び越すと、あたかも係りの者であるかのように落ち着いた態度で、馬をいじり初めた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
僕は円タクの窓越しに赤錆あかさびをふいた亜鉛トタン屋根だのペンキ塗りの板目はめだのを見ながら、確か明治四十三年にあつた大水おほみづのことを思ひ出した。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
路地の向うはどぶになっていて、板が渡してあったし、その向うは十坪ばかりの空地で、亜鉛板トタンの錆びたのが積み重ねてあったり、瀬戸物のかけらだの、炭俵のぼろだのが捨ててあった。
痀女抄録 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
そのうちに新聞社や、聯隊へ宛ててドシドシ同情金が送りつけて来たが、中には女の名前で、大枚「金五十円也」を寄贈するものが出来たりしたので、西村さんは急に金持ちになったらしく、同じ部落の者の世話で、母親の寝ている蒲鉾小舎を、家らしい形の亜鉛板トタン張りに建て換えたりした。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わたし薪雜棒まきざつぽうつてて、亞鉛トタン一番いちばんしのぎけづつてたゝかはうかな。」と喧嘩けんくわぎてのぼうちぎりで擬勢ぎせいしめすと、「まあ、かつたわね、ありがたい。」とうれしいより、ありがたいのが、うしたとき眞實しんじつで。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)