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			りよかく
		
		  
	
 
  
	
	
	
	
		
		
			この様を場内の
旅客が珍らしさうに立つて見て居る中に、
桃割に結つて
花車ななよ/\とした
身体を
伴れの二十四五の
質素な風をした束髪の女の
身体にもたれるやうにして
 
			
		 
		
			他国の
旅人などは
怖る/\
移歩かへつて
落る
者あり、おつれば雪中に
身を
埋む。
視る人はこれを
笑ひ、
落たるものはこれを
怒る。かゝる
難所を作りて他国の
旅客を
労はしむる事
求たる
所為にあらず。
 
			
		 
		
			どの
御寺も
其外観の荒廃し掛けて黒く
煤びて居るのを仰いで過ぎる方が通りすがりの
旅客の心に
趣が深い様に思はれた。