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よびむか
目覚れば
早や
午に近し。召使ふものの知らせにて離れの
一間に住み給ひける母上捨て置きてはよろしからずと
直様医師を
呼迎へられけり。
相續する
筈なれば
首尾よく右等の事の
相濟し上は
呼迎へて妾となすべし
夫迄は其方の
了簡にて深く
愼み
猥に
口外致すべからず
併五
月にも
相成る上は
奉公も太儀なるべし其方は
病氣と
披露し一先宿へ
下り母の
許にて予が
出世を
間有りて
婢どもの口々に
呼邀ふる声して、
入来し客の、障子
越なる隣室に案内されたる
気勢に、貫一はその
男女の二人
連なるを知れり。