“はぶたへ”の漢字の書き方と例文
語句割合
羽二重100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と云つて、お嬢様は彼方あちら向いて男と一緒に行つた。緋の細工羽二重はぶたへ根掛ねがけの菊が、今迄この人の顔の美しいのを眺めて酔つたやうに立つて居たあたりの人の目に映つた。
御門主 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
鋳物いものの香炉の悪古わるふるびにくすませたると、羽二重はぶたへ細工の花筐はなかたみとを床に飾りて、雨中うちゆうの富士をば引攪旋ひきかきまはしたるやうに落墨して、金泥精描の騰竜のぼりりゆう目貫めぬきを打つたるかとばかり雲間くもま耀かがやける横物よこものの一幅。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
せきへ、うす真綿まわた羽二重はぶたへすべつたやうに、さゝ……とたゞきぬおとがして、ひざむだあしのやうに、友染いうぜんはしが、せきをなぞへに、たらりと片褄かたづまつてちた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)