-
トップ
>
-
たちよど
つかつかと出て、まだ
雫の
止まぬ、びしょ
濡の衣を振返って、
憂慮げに土間に下りて、草履を
突かけたが、
立淀んで、やがて、その手拭を取って
頬被。
改札口を出たまでで、人に聞かぬと、東西を心得ぬ、
立淀んで
猶予う処へ、
顕われたのが大坊主で
先の
二人、
頭の
長いのと、
何かに
黒髮を
結んだのは、
芝居の
樂屋の
鬘臺に、
髷をのせて、
倒に
釣した
風情で、
前後になぞへに
並んで、
向うむきに
立つて、
同伴者の、
然うして
立淀んだのを
待つらしい。