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そんしつ
僕等はもう
廣小路の「
常盤」にあの
椀になみなみと
盛つた「おきな」を
味ふことは
出來ない。これは
僕等下戸仲間の
爲には
少からぬ
損失である。
如何となれば、
人間全體は、
餓だとか、
寒だとか、
凌辱めだとか、
損失だとか、
死に
對するハムレツト
的の
恐怖などの
感覺から
成立つてゐるのです。
其物吝みが
甚い
損失。
折角の
美しさも、
其偏屈ゆゑに
餓死をして、
其美しさを
子孫には
能う
傳へぬ。