“しるしばんてん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
印半纏53.3%
印袢纏11.4%
印半纒11.4%
印絆纏6.7%
印袢天5.7%
印半天3.8%
印絆纒3.8%
印絆天1.9%
切絆天1.0%
印判纏1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いつもとはちがってその時は人影というものがほとんど見えなくて、ただ片隅のベンチに印半纏しるしばんてんの男が一人ねそべっているだけであった。
雑記(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
死人の顔から、防毒マスクを奪いとろうとした浅間しい行為を恥じるものの如く、印袢纏しるしばんてん氏は、マスクの中で、幾度も、幾度も、苦吟くぎんを繰返した。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一人は五月代さかやきの肥えた男で、洗いざらしの印半纒しるしばんてんで作った長半纒を着、尻切れ草履をはいていた。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それでも祭の日なんかに肩上げのした印絆纏しるしばんてんを着て頭を剃った「餓鬼」を見ると、峰吉は、植峰の家もおれでとまりだなあと思ったりした。
舞馬 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
別に画にみるようなトゲトゲはないが短かい角はある。髪はザン切りにしていた。それがひどくよごれた印袢天しるしばんてん風のものを着て、汚れたひもを帯の代りに締めている。
ばけものばなし (新字新仮名) / 岸田劉生(著)
いざや人物の観察にても始めんと目を見開けば隣りに腰かけし印半天しるしばんてんの煙草の火を借らんとて誤りて我が手に火を落しあわてて引きのけたる我がさまの吾ながら可笑しければ思わず噴き出す。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
早朝、誘いに来てくれた留さんは、わらじ脚絆きゃはんに、印絆纒しるしばんてんを着、真田紐さなだひもでしばった大きな弁当箱を肩に掛け、いなせなとびみたいな恰好していた。
今度は印絆天しるしばんてんが向いた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
竿持てる者には、腹がけに切絆天しるしばんてん盲縞めくらじまの股引したる連中多く、むさぐるしき白髪の老翁の、手細工に花漆をかけたという風の、竹帽子を被れるも見え、子供も三四分一は居たりしならん。
東京市騒擾中の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
今は夏ですから、酒屋の小僧も大いばりで、十二、三のいたずら盛りのが、はだかのうえへ、三河屋と書いた印判纏しるしばんてんを一枚ひっかけ
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)