印半天しるしばんてん)” の例文
さまざまの手遊を数多きほど見得にして、七つ九つ十一つくるもあり、大鈴小鈴背中にがらつかせて、駆け出す足袋たびはだしの勇ましく可笑をかし、群れを離れて田中の正太が赤筋入りの印半天しるしばんてん
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いざや人物の観察にても始めんと目を見開けば隣りに腰かけし印半天しるしばんてんの煙草の火を借らんとて誤りて我が手に火を落しあわてて引きのけたる我がさまの吾ながら可笑しければ思わず噴き出す。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
妾も東上して本郷ほんごうどおしを通行の際、ふと川上一座とえりめぬきたる印半天しるしばんてんを着せる者に逢い、思わずその人を熟視せしに、これぞほかならぬ川上にして、彼も大いに驚きたるものの如く
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
さま/″\の手遊てあそび數多かずおほきほど見得みゑにして、七つ九つ十一つくるもあり、大鈴おほすゞ小鈴こすゞ背中せなかにがらつかせて、足袋たびはだしのいさましく可笑をかし、むれれをはなれて田中たなか正太しようた赤筋入あかすぢいりの印半天しるしばんてん
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)