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しめしあは
聞文左衞門は夫は親類と申て請取に參つたは
僞者だなと云に藤八は
御意に御座ります因て私し九助と
計略を
示合せ九助
歸國の
祝ひと申
振舞を致させ村中の者を
呼來るべしと
竊かに
示合せて
別れけり菊は只金と小袖の
欲さに
其夜丑の
刻も
過る頃又七が
寢間へ忍び入り
剃刀を
逆手に
持又七が
夜着の上より
刺貫しけるに又七は居ず
夜具ばかりなれば南無三と
傍邊を
尋て
能々相談なし給へと
勸めるに付彦三郎は
御深切の
御詞忝けなしと
打悦び
内外の
事共諜合せ橋本町へぞ急ぎける