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さいはつ
再發させ
科人の身と成し事思ひ知れやと
言ひながら
奉行の方に打向ひ
割るばかりの
大音揚是迄
爲したる我が惡事を
好むことは
鷄にも
似たりと云程のことなれば
近來家内の
不取締りは勿論なり故に何事に
寄ず番頭久兵衞が一人にて
宜樣に
掻廻して居ければ終に又昔しの
惡心再發なし此度文右衞門が
質の一件とても己が
氣儘に取計らはんとし又主人の金子百兩を
此に於て竹葉上に
点々滴れる所の
露を
甞め、以て漸く
渇を
慰す、吉田署長病
再発し
歩むに
堪へず、
遂に他の三名と共に
帰途に
就かる、行者
参り三人も亦
心淋しくやなりけん