“きにいり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
気入25.0%
称心25.0%
贔負25.0%
鍾愛25.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一言にして云えば、彼等は中村家の莫大な財産がめあてなのである。どうかして老子爵のお気入きにいりになって、志津子と結婚し、この中村家の巨万の財産を手に入れようと企んでいるのだ。
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
金眸は朝よりほらこもりて、ひとうずくまりゐる処へ、かねてより称心きにいりの、聴水ちょうすいといふ古狐ふるぎつねそば伝ひに雪踏みわげて、ようやく洞の入口まで来たり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
村の人達は、富江を淡白きさくな、さばけた、面白いひととして心置なく待遇あしらつてゐる。殊にも小川の母——お柳にはお贔負きにいりで、よくそのいへにも出入する。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
この室の戸をたゝくものが有る。其音で、直に校長は勝野文平といふことを知つた。いつも斯ういふ風にして、校長は鍾愛きにいりの教員から、さま/″\の秘密な報告を聞くのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)